オアシスのポイント

スペースシャトル「チャレンジャー号」の爆発事故をきっかけに、アメリカ政府は早くから睡眠障害に着目し、1992年から「目覚めよ、アメリカ」というキャンペーンをはじめた。 93年にまとめられた睡眠障害に関する報告書では、チャレンジャー号の爆発事故やスリーマイル島とチェルノブイリの原発事故、大型タンカー「エクソン・バルデイーズ」の事故、山陽新幹線で居眠り運転をした運転手が睡眠時無呼吸症候群(SAS)だったことから、睡眠障害がにわかにクローズアップされている。
ひとくちに睡眠障害といってもSASのほか、不眠症や交代勤務睡眠障害などさまざまな病状がある。 睡眠障害は日中の眠気をもたらし、作業能力や判断力の低下から事故をおこすリスクも高い。
うつ病や神経症の増加、不登校、出社困難などの弊害も指摘される。 TJI大学精神医学講座のI助教授と国立S・Sセンター精神保健研究所のU部長に、睡眠障害の診断と治療、睡眠研究についてうかがった。
国立S・Sセンター精神保健研究所(千葉県市川市)I助教授によると、睡眠障害による経済的損失はアメリカで1993億ドル、日本の場合、睡眠障害による交通事故の試算だけで1兆4000億円、睡眠障害全体では概算でおよそ6兆円の経済的損失がみこまれるという。 そもそも睡眠の役割とはなんだろう。
覚醒時に似た脳波があらわれ、急激な眼球運動がおこるレム睡眠は、精神機能のための睡眠といわれ、ストレスの処理や記憶の固定といった機能をもつ。 一方、眠りが深くなるときや熟睡しているときのノンレム睡眠は、成長ホルモンの分泌や深部体温の低下(エネルギーの保存)、免疫能力の維持に役立っている。
「海外旅行をすると、時差による睡眠障害で免疫能力が落ちる」(I助教授)のは、よく経験することだ。 睡眠にはこのような役割があるにもかかわらず、交代制勤務者の増加による24時間社会、ストレス社会、高齢化社会といった睡眠をさまたげる要因に満ちているのが、現代日本の特徴といえるだろう。
とくに、夜型化の傾向は著しい。 午後2時になるまでに寝ている人は、1960年に国民の90%だったのに対し、2000年には51%。
逆に、午前6時には起きている人は1960年に60%いたのに、2000年には40%に減った。

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